みなさんカメラの交換レンズは何本くらいお持ちでしょうか。
プライベートでお子さんの撮影をされている方だと、2〜3本(標準・望遠ズームと標準単焦点レンズ)くらいが一般的でしょうか。
複数持っているけど、結局使っているのは1本だけという方も多いのではないでしょうか。
私は異なる焦点距離のレンズを12本くらい所有していて、その日の撮影ごとに持っていくレンズをチョイスして使い分けています。
なんでそんなに沢山のレンズを所有する必要があるのかと言いますと、焦点距離ごとにレンズを使い分けたいからです。
写真の上達を目指すなら、レンズの焦点距離ごとの特性を充分に理解して使いこなすことがとてもとても重要になります。
焦点距離を理解してレンズを使いこなそう
新しいレンズの購入を考える際には、どれだけ大きくボカすことができるのかや、解像度の高さ、AFの速さばかりをネットでチェックしてしまいがちですよね。
しかし、レンズを購入する前に大前提としてレンズの焦点距離ごとの特性・特徴を把握しておきましょう。
意外と忘れがちだけど、写真が上手くなりたい人にとってこれはかなり重要なポイントなのでしっかり見ていきましょう。
それではまずは望遠レンズ編から。
望遠レンズとは
一般的に85mm~135mm(35mm判換算)くらいを中望遠と呼び、F1.4〜F2くらいの単焦点レンズは別名ポートレートレンズと呼ばれ、人物撮影などでは寄ってバストアップに、引いて全身撮影にと重宝されています。
135mm以上のレンズを、望遠レンズまたは超望遠レンズと呼び、遠くの風景を大きく写し出したり、野鳥やお子さんの運動会など被写体に近づくことが出来ない撮影で重宝します。
望遠レンズくらい長めの焦点距離になってくると、圧縮効果と呼ばれる現象により撮れる写真の雰囲気が、通常のレンズ(24mm~70mm)とかなり変わってきます。
圧縮効果について簡単に説明すると、遠くのものが近くにあるように写る現象です。
遠くにあるはずの富士山や月が、ビルなどのすぐ背後にあるように見える写真も圧縮効果によるものです。
また、必然的に狭い範囲を切りとるフレーミングになるので背景の整理がしやすくなります。
例えば、ポートレートで背景に桜が一本しかないような状況でも、望遠レンズの圧縮効果とフレーミングをうまく使うと桜に囲まれて撮影したような写真を撮ることが可能になるわけです。
その反面、似たような写真を量産してしまいがちなので注意が必要になります。
望遠レンズの使いこなし
室内で家族を撮影するには85mmくらいの中望遠までが使いやすいです。(もちろんお家の広さにもよりますが)
それよりも望遠レンズが真価を発揮するのは、屋外での撮影時です。
私が望遠レンズを使用するときは、写真の構成物を層のように一つ一つ重ねるイメージで撮影します。
Photoshopの概念にレイヤーがありますが、まさにそのイメージです。
この作例で説明すると大まかに4層に分解することができます。
①手前の地面を1層
②ご家族を2層
③背景の柵と緑の地面を3層
④背景の桜を4層
このように4つの層が重なり合っているイメージで一枚の写真を構成します。
1層=前ボケ
2層=被写体(メイン)
3層=後ボケ
4層=後ボケ
もちろんピントは2層のメインとなる被写体に合わせます。
ここでのポイントとして、メインとなる層以外には目を惹きつける要素を配置しないと言う事です。
例えば、①におもちゃなどが転がっていたら写真を観る人は目線が迷いますよね。
③に赤い色の風船がくくり付けられていたら、やっぱりどうしても気になってしまいます。
ただし、気になる物がある場合でもその物体の色が画面構成の中でメインカラーと同系色であれば比較的まとまりを出す事も出来ますので、その辺も考慮しましょう。
この写真には本当は色彩構成も重要な要素としてあるんですが、望遠レンズの趣旨からは外れるので今回は割愛します。
こちらの写真は、普通の河川敷で撮影しました。
望遠レンズで風景を切り取る事で、ただの川なのに湖のような広がりを感じられませんか。
こう言うところが望遠レンズの面白さだと思います。
女の子を撮るだけが望遠レンズの魅力じゃないのですよ、そこの君。
まとめ
つまり望遠レンズは被写体と周囲の空間を切り取る事が出来るので、画面構成を自分の思い通りにコントロールする事が可能になると言う事ですね。
ただし、画面構成が出来ない人は闇雲に背景をボカしたポートレート写真ばかりを撮ってしまい、代わり映えのしない写真を量産してしまうのでしょうね。
望遠レンズの使いこなしにこそ写真の腕が試される、望遠レンズは奥が深い焦点距離のレンズなのです。