SONY交換レンズ FE 35mm F1.8(SEL35F18F)
2019年8月に発売されたこのレンズ。
SONYαユーザー待望の焦点距離35mmでF1.8の軽量レンズです。
元々SONYからはEマウントαシリーズ用に、Sonnar T* FE 35mm F2.8ZAと、Distagon T* FE35mm F1.4ZAという二つのフルサイズ対応35mmレンズが発売されていました。
Sonnar T* FE 35mm F2.8ZAは、軽量コンパクトですが、開放F値がF2.8と単焦点レンズとしては物足りない。
Distagon T* FE35mm F1.4ZAは、開放F値F1.4で大口径ですが、大きくて重い。
まさに帯に短したすきに長し状態だったところに、ついに軽量コンパクトで開放F値F1.8とほどよく明るい(あとフルサイズレンズとしては安価な)本レンズが発売されました。
フルサイズ対応で焦点距離35mmのレンズは、APS-Cセンサーのカメラで使っても35mmフルサイズ換算で約53mmと非常に使いやすい焦点距離のレンズです。
もちろんフルサイズで使用した場合には、室内での子どもの撮影やカフェなどでの料理撮影にも使いやすい画角になります。
とにかく使い勝手のいい焦点距離が35mmなんですね。
私は2019年の七五三シーズン前に導入して、その後仕事でもプライベートでも色々撮影しました。
価格的にも購入を検討されている方は多いんじゃないかと思うので、作例含めじっくりとご覧いただければと思います。(作例クリックで大きな写真を見られます)
FE 35mm F1.8 レビュー
外観
質感は悪くありません。SONY FE 85mm F1.8と同じ感じですね。
高級感はないけど安っぽくもなく、いわゆる普通といったところ。
レンズの側面に、フォーカスホールドボタンとAF/MF切替スイッチがあります。
フォーカスホールドボタンには、ボタンカスタマイズで好きな機能を割り当てることができます。
重量
約280gとフルサイズ対応レンズとしては非常に軽量。
SONYα9と組み合わせても1kgをきる重量なので、片手で無理目な体勢でも楽にシャッターを切ることができます。
マジで機材の軽さは性能です。
オートフォーカス
速いです。
爆速を誇るSONY Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZAと比べても遜色ない速さです。
もちろん正確性も問題なし。
子どもの予測不能な動きにも対応できるスピードです。
F1.8シリーズはオートフォーカスの駆動系が軽いので、オートフォーカスのスピードは買う前からそんなに心配していませんでした。(FE50mmF1.8のことは忘れましょう)
近接撮影能力
最短撮影距離0.22m、最大撮影倍率0.24倍と非常に被写体に寄ることができるので、テーブルフォトなどでも席に座ったまま料理の写真を撮影することができます。
ちなみにSONY Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZAは最短撮影距離0.55m、最大撮影倍率0.14倍と全然寄れません。
描写性能
それでは実際の作例をご覧ください。
作例(開放付近)
絞り開放からほんとよく写る
ほぼ絞り開放で撮影してみましたがいかがでしょうか。
私の感想ですが、開放からよく写ります。
人物の瞳とまつげの先鋭感なんて凄い。ドキッとします。
カフェでの窓際での写真(5枚目)も、これだけかっちりピント面が浮き立ってくれると編集でノイズを載せても見栄えがします。
お寺の金灯篭(8枚目)は、開放F値で撮影したとは思えないほどシャープでディテールがよく出ています。
またシャープさ以外の部分でも、ピントの合っている箇所からアウトフォーカス部にかけての、なだらかな描写もとても好印象です。
こういうのはレンズテストの評価などがアテにならない部分なので、実際に自分で写真を撮って満足できたので良かったです。
けどフリンジも気になる
金灯篭の写真(8枚目)を見ていただけば分かると思いますが、手前にある灯篭がクセのある描写になってますね。
このレンズは中央部分の解像度は他の高価なレンズと比較しても遜色ないくらいですが、周辺部の描写は少々クセ者なようです。
それとフリンジがもっさり発生します。
Lightroomのフリンジ除去で消すことは容易ですが、写真編集を行わない方には少し気になるところかもしれません。
ゴーストやボケ味のクセなどは撮影時に意識的に回避することができますが、収差に伴って発生するフリンジや周辺画像の流れなどは撮影時に注意することはなかなか難しいので、気になる場合は多いでしょうかね。
作例(F値を絞り込んで撮影)
今度はF値を絞り込んで撮影してみました。
紅葉の写真はほとんど不満のない写りで、編集していていいレンズだなぁと驚きましたね。
海の作例は2枚ともレンズにとってずいぶん厳しい条件ですが、かなり健闘している印象です。
やっぱりよく写るレンズですね。
フリンジについて検証
今度はウィークポイントについて検証してみます。
上記の写真は Lightroomにてフリンジを除去した後の写真になります。
ここでフリンジ除去前の写真を載せます。
わかりやすいようにフリンジ発生箇所(写真右側中央の、木と葉っぱと空の部分)を拡大しましょう。写真クリックで拡大表示されます。
木々や枝の境界線に元々存在しない色が付いてしまう現象がフリンジですが、 Lightroomのフリンジ除去を使用してほとんど消すことができました。(厳密に言うと、フリンジ除去による色抜けが出てますが良しとしましょう)
ただ、収差による光のにじみについては各種除去機能などを使って調整しても残ってしまいます。
周辺光量落ちについて検証
上は、 周辺光量に関して未補正の状態。
下は、 Lightroomにて周辺光量補正のプロファイルを使用。
開放にて撮影時に未補正の場合、周辺光量落ちが顕著です。(左側が明るいのは太陽があるため)
ただ周辺光量落ちに関しては収差と異なり、修正が容易なので今時あまり気になるポイントではないかと思います。
JPEGの場合でもカメラ内レンズ補正に対応しているので撮って出しでも補正されますよ。
まとめ
長所
5万円代後半の価格(2019年11月時点)
開放F値1.8、軽量コンパクトで取り回しのよいサイズ感
高速高精度なオートフォーカス
4200万画素のα7RⅢで使用しても問題ない解像度
フルサイズとAPS-Cのどちらでも使いやすい画角
短所
フリンジが結構出るのでPCで編集をしない方は気になるかも
中央部分と比べて周辺画質はほわっとしてる
上記を踏まえてSONY FE 35mm F1.8(SEL35F18F)はおすすめなレンズです。
SIGMA 35mm F1.4 DG HSM|ARTが7万円代後半なので検討対象に入ってくると思いますが、こちらは性格が異なるレンズかなと思います。
軽量コンパクトで高速オートフォーカスなSONY FE 35mm F1.8は、カメラにつけっぱなしにしていつでも持ち歩き、子どもの写真を撮ったり、カフェでささっと料理の写真を撮ったり軽快に撮影したい方。
重量755gのSIGMAは、ポートレート撮影などで大人を撮影する場合や、風景など動きの少ない被写体をじっくり撮影したい方。
そんなイメージです。
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終了しました。