以前に「もうデジタル一眼レフを買うべきではない」という記事を書きました。
内容としては、一眼レフカメラではなくミラーレスカメラが主流になっていく中で、今後も写真を続けていくのならばミラーレスカメラをお勧めしますというものだったのですが、それではミラーレスカメラのお勧めは何なのかという事を、家族写真の専門家としての立場から書かせていただきます。
今回の記事の対象は、家族写真を上手に撮りたい方や趣味で写真を始めてみたい方向けです。
家族の写真を撮る際に重要な要素であるオートフォーカス性能や、カメラを趣味として続けていくことを考えた際のレンズの種類とシステムの拡張性を意識してセレクトしました。
家族写真の専門家が選ぶミラーレスカメラのお勧めは?
オススメその1 SONYのミラーレスカメラ αシリーズ
SONYのミラーレスカメラα(アルファ)シリーズは、フルサイズセンサー搭載のα一桁機と、APS-Cセンサー搭載のα6000番台とα5000番台の二種類に分けられます。
最近発売されたαシリーズは子供撮影において一番重要な、ピントが確実に合うという要素を高確率で達成してくるカメラです。
価格は全体的に高価ですが、性能面からみると妥当なイメージ。
SONY α6400 ILCE-6400
APS-Cセンサー搭載のミラーレスカメラ。重量403g(バッテリーとメモリーカード含む)。
SONYの最上位機種であるα9 譲りのオートフォーカス性能で、この値段で買えるカメラとしては現時点で最高のオートフォーカス性能を持っています。
子供の瞳に自動でピントを合わせてくれるリアルタイム瞳AF機能や、一度合わせたピントを逃さずに追従する性能などが、他社に比べて抜群に優れています。
ある意味最強のパパママカメラ。
正直カメラ任せでも楽に写真が撮れてしまうので、自分で操作している感が少なくカメラを趣味で楽しんでいきたい方には少し物足りなさを感じてしまうかもしれません。
ただ、子供の写真を綺麗に撮りたいという要求にはきっちりと応えてくれると思いますよ。
SONY α7 III ILCE-7M3
フルサイズセンサー搭載のミラーレスカメラ。重量650g(バッテリーとメモリーカード含む)。
予算が潤沢で、とにかく背景を大きくボカしたいのならこのカメラ。
オートフォーカス性能も優秀で、バッテリーも長持ち、プロカメラマンでも使用者が多い万能カメラです。
オートフォーカス性能だけで見るとα6400には劣りますが、ボディ内手ぶれ補正が搭載されているので装着した全てのレンズで手ぶれ補正が効きます。
ただし、フルサイズカメラでレンズ一式まで揃えるとかなり高額になりますので、素人の方が手を出すのなら覚悟が必要です。
αシリーズのレンズの種類・拡張性
APS-C用のレンズも、フルサイズ用のレンズも豊富にラインナップされています。
また純正に限らず、SIGMAやTAMRONなどのレンズメーカーも積極的にレンズを発売しているのでレンズ選びに困ることはありません。
将来フルサイズが欲しい場合には、フルサイズセンサー対応のレンズを選んでおくのがお勧めです。
オススメその2 FUJIFILMのミラーレスカメラ Xシリーズ
FUJIFILMのカメラの魅力は何と言っても色の良さです。
長年フィルムを製造してきたメーカーなので、デジタルになっても色再現技術には相当な自信を持っているようなのですがこれが本当に素晴らしい。
往年のフィルムのカラートーンを再現したフィルムシミュレーション機能は、設定を選ぶだけで多彩な色彩表現が可能になります。
人物の肌の色やトーンなどはプロのカメラマンでも非常に繊細に調整して写真を作っているのですが、FUJIFILMのカメラでは撮ったままで何も編集しない方が美しいんじゃないかと思うことさえあります。
写真をパソコンで編集をしない方には特にお勧めです。
さらに、APS-Cセンサー搭載なのですがFUJIFILMは独自のX-Trans CMOSセンサーというものを使用しており、他社の同じAPS-Cセンサー搭載機と比べて目に見えて高画質です。(一部機種除く)
それとFUJIFILMのカメラは基本的にカッコいいです。
昔のフィルムカメラのようなメカニカルな操作系をあえて採用していて、写真を趣味でとことんやりたい方やカメラに愛着を持ちたい方にはピッタリだと思います。
僕も昔サブカメラとしてX-Pro1やX100Sを使用していましたが、持っていてテンションの上がる大好きなカメラでした。
FUJIFILM X-T30
APS-Cセンサー搭載のミラーレスカメラ。重量383g(バッテリーとメモリーカード含む)。
ボディの質感や、オートフォーカス性能や連写性能は上位機種X-Pro2やX-T3に譲りますが、画質に関してはそれら上位機種と遜色ありません。
画質に妥協しないという所にFUJIFILMの写真にかける想いみたいなものを感じます。
FUJIFILM X-T3
APS-Cセンサー搭載のミラーレスカメラ。重量539g(バッテリーとメモリーカード含む)。
予算が潤沢な方は上位機種であるこちらも候補。
オートフォーカス性能や連写性能がさらに優れていますが、家族撮影にはX-T30で十分かな。
Xシリーズのレンズの種類・拡張性
純正だけで、比較的軽量安価なレンズから、プロ向けの高画質レンズまで一通りラインナップされてます。
軽量安価なレンズも写りには妥協しない高画質なものが多く、きっと写真好きの期待に応えてくれます。
カメラを長く趣味として続けていきたい方には特にお勧め。
オススメその3 CANONのミラーレスカメラ EF-Mマウントシリーズ
CANONのミラーレスカメラのシリーズは、フルサイズセンサー搭載のEOS-Rシリーズと、APS-Cセンサー搭載のEOS-Mシリーズの二種類に分けられます。
EOS-Rシステムはボディが安価なものも発売されましたが、レンズが非常に高価なので今のところお勧めできません。
CANONはプロカメラマンにEOS-Rシステムを訴求していく段階ですので、あまりエントリー向けなレンズを出す余裕がないみたいですね。
EOS-Mシステムはパパママ向けカメラとしてはいいのかなと思いますが、レンズの種類が少なく中々割り切った印象です。
そもそも同じメーカーのミラーレスカメラなのに、マウントが異なりレンズが共有できないということがナンセンスです。
CANON EOS Kiss M
APS-Cセンサー搭載のミラーレスカメラ。重量390g(バッテリーとメモリーカード含む)。
デュアルピクセルCMOS AF搭載で非常に正確で高速なオートフォーカス性能です。
前述のSONYやFUJIFILMと比べると特に注目する要素はないのですが、基本的な性能に不足は感じられませんし、ソツのないカメラな印象です。
APS-Cセンサー搭載のミラーレスカメラとしては比較的安価(5万円代)なので、単焦点レンズを購入しても、10万円を下回るというのはかなりコスパがいいですね。
実際かなり売れ行きはいいみたいですし、これからレンズの種類も増えていくかもしれませんね。
EOS-Mシステムのレンズの種類・拡張性
2019年7月現在、純正レンズが6本とかなり少ないです。
しかし、その少ないレンズラインナップの中で、単焦点レンズのEF-M22mm F2 STM(換算35mm)、EF-M32mm F1.4 STM(換算51mm)を比較的安価で揃えているのは良いですね。
どちらも室内での人物撮影には重宝する焦点距離ですし、明るいレンズなのでボケも期待できます。
さすがCANONは商売上手です。
ボディとレンズ1~2本だけ買って、それ以後はそのカメラとレンズだけでということならかなり満足度は高いでしょう。
総評
いかがでしたでしょうか。
SONYのα6400の抜群のオートフォーカス性能と、純正他社製合わせた豊富なレンズ群。
FUJIFILMの色再現技術と、豊富な純正レンズ群。
CANONのコスパとバランス感。
簡潔に(ザックリと)まとめるとこんな感じでしょうか。
実際どれを選んだとしても写真を長く楽しんでいただけると思いますし、撮りたい写真を撮影するための近道になることと思います。
初心者だからこそ、最初から自分に最適な機種を選んで後悔しないようにしていただけたらと思います。
FUJIFILMの色彩表現
個人的な意見として、写真家としては色に対する意識が高いので、FUJIFILMのカメラに魅力を感じます。
まだパソコンを使ったレタッチをしたことがない方などは、FUJIFILMの色彩表現から身につくこともあるんじゃないかとも感じています。
あとやっぱりFUJIFILMのカメラってカッコいいし。
SONYのオートフォーカス性能
SONYα6400のα9譲りのオートフォーカス性能は、今後のSONYの新機種にも続々搭載されていくでしょうから、「SONYのカメラ=オートフォーカスすごい」というのは今後も当たり前になると思います。
他社も同じような瞳AFなどの機能をPRしてますが、SONYはワンランク上の性能と考えていいです。
動き回る子供の瞳にピントを合わせ続けるなんて数年前まではプロでも難しいことだったのですから、技術の進歩はすげーなすごいです。
CANONのコストパフォーマンス
ちなみに、実はこの記事を書き始めたときはCANONのミラーレスはレンズも少ないし、マウントもたくさんあって初心者に親切じゃないしで酷評しようと思っていたんですが、調べてみると家族撮影において素晴らしいカメラシステムを安価に揃えることができるなと感心しました。
EOS-Rシステムの開発に忙しいので、CANONがEOS-Mシステムに全力で取り組んで開発を続けてくれる保証はないですが、そこさえ割り切って考えることができれば全然ありじゃないかと今では思っています。